植物ときもの 〜梅雨の晴れ間に楽しむ装い〜
雨に濡れた葉の緑、しっとりと咲く紫陽花(あじさい)や花菖蒲(はなしょうぶ)。6月は雨の多い時期とはいえ、その美しさにきものが映える季節でもあります。雨の合間の晴れ間を狙って、季節の植物にちなんだ装いで、自分らしいきもの時間を楽しんでみませんか?
【6月の植物ときもの】
この時期におすすめなのは、雨や水を感じさせるモチーフや、涼やかな色使いのきもの。控えめながらも印象的な植物の柄が、6月の空気感にぴったりです。
・紫陽花(あじさい)
色が移ろうことから「移り気」という花言葉もありますが、見る角度や光の加減で表情を変えるその姿は、きものにもぴったり。淡い青や紫を取り入れたコーディネートで、しっとりとした雰囲気を楽しめます。
・花菖蒲(はなしょうぶ)
優雅で凛とした佇まいの花菖蒲は、6月の代表的な花。繊細なタッチで描かれた花菖蒲の柄は、涼やかで知的な印象を与えてくれます。
・露芝(つゆしば)や淡い水玉模様
梅雨を感じさせる控えめな意匠。帯や帯〆・帯揚で取り入れることで、さりげなく季節感を演出できます。
【雨の日にも気分が上がる小物たち】
梅雨どきは、無理に出かけようとせず、梅雨の晴れ間を狙ったり、おうちでのきもの時間を楽しむのもおすすめです。とはいえ、雨の日にも心が弾む、きもの用の便利な小物をご紹介します。
・草履カバー
お気に入りのお草履を雨から守ってくれる、頼もしい存在。持ち運びもできて安心です。
・鼻緒の柔らかなお草履
足当たりが優しく、長時間歩いても疲れにくいアイテム。
・ストレッチのきいた足袋
動きやすく、梅雨時期にも快適に過ごせます。
・かんざしや髪飾り
紫陽花や露草など、季節の植物をモチーフにしたかんざしで、さりげなく季節を取り入れて。
・着物映えする傘
傘の内側に花模様などが描かれた華やかな雨傘も登場しています。きものとの相性も良く、雨の日の気分もぐっと上がります。
・ほそみ安心ガード加工
雨の日のお出かけが心配な方には、「ほそみ安心ガード加工」がおすすめです。水をしっかりとはじき、汚れもつきにくくなり、安心してきものを楽しめます。詳しくはお店にお気軽にご相談ください。
【気温によって工夫する素材選び】
6月は単衣(ひとえ)の時期。暑い日もあれば肌寒い日もあるため、素材選びで快適に。
・通気性のよい麻や綿などは、気温によっては快適に過ごせる素材です。
・絽や紗などの盛夏向けの素材は、まだ早い時期なのでご注意を。
『北近畿の花スポット(6月編)』
⚪︎白毫寺(びゃくごうじ)のあじさい園(丹波市)
約1,500株のあじさいが咲き誇る、丹波市の名所。山あいに佇む古刹の雰囲気に、きもの姿はよく映えます。
⚪︎大師山自然公園 花しょうぶ園(福知山市)
色とりどりの花菖蒲が約2万本。園内をゆっくりときもので散策できるのは、この時期ならではの贅沢です。
【おわりに】
きものにとっては、難しい時期かもしれません。でも、そんな時期だからこそ、工夫次第で楽しみ方は広がります。雨の音に耳を澄ませ、梅雨の晴れ間に季節の植物を愛でながら、心豊かなきもの時間を過ごしてみませんか?